Column
医療を育む心理学
なぜ、経営に心理が必要と考えるのか?
これまで数多くの経営者とお会いし、また多くの組織と出会って様々なドラマと直面してきました。そして、ご支援させていただくクライアントの方々の幸せな瞬間に立ち会えるという幸運も数多く経験させていただくことができ、また、これからもそのような経験を得る事ができるよう、自分自身も成長を重ねています。
コンサルタントとして駆け出しの頃には、数百の経営・ビジネスに関する書籍を読みあさり、セミナーにも多数参加し、先輩コンサルタントの成功事例を沢山聞き、経営理論の習得が大切だという想いを強く持っていました。もちろん、その中にもとても大切な考え方や結果を生み出す方法などがありましたが、コンサルタントとしての仕事を現場で続けていくなかで、それらだけではどうしても解決できない様々な課題にも多々ぶつかることがありました。そんな中でも、突破口を切り開き、大きな力を発揮してくれたのが、もともと学生時代から一貫して学び続けてきた「心理学」の様々な知見だったのです。
市場・経済、また経営とはいえ、もともとの始まりとそして目的は、すべて「人」にあります。カッコいい図や表を用いた理論ではありません。人は常に成長し、悩み、変化していきます。そしてそんな人の集まりが組織であり、市場であり、社会を形成しているのです。業績を上げてみても幸せの感度を上げることができず、苦しむ経営者は沢山います。それらを相乗的にリンクさせるためには、コンサルタントとして、経営理論だけでなく、人間心理についての深い探求が必要だったのです。
1人の人をとってみても、「理想」と言われるものはその時点での概念的なものにすぎず、常に柔軟に変化しているものです。コンサルタントは時として「人生の軸を共に作る」などという押しつけ的なスタンスを取ってしまいがちですが、実際に人生を形作るのは1人1人の役割です。私たちは、個々の経営者、そしてその組織の中に既に内在している素晴らしいリソース(経営資源)や価値観を活かし、引き出すためのサポーターとして存在することで、人生の軸を経営者ご自身が発見し、またその軸を成長させ、人生を通じての幸せを手に入れていただくための支援を行うことを大切にしています。
ご自分の既にある軸に気づいて頂くための支援。
そのために、あくなき人間心理に対する追求を続け、現場での活用やサポートを通じて、一人でも数多くの幸せに貢献するための活動を行っていきたいと考えております。
特に、歯科・医療の現場では、「他者の精神的な支援」「自分の心のマネージメント」「組織・チームという場の醸成」という点において、スムーズな交流がなされている組織とそうでない組織では、必然的に業績にも跳ね返ってきます。もともと、他の業界のように何か目に見える商品を提供するようなものではなく、1人1人が持つ人としてのスキルや能力などを通じて収益を得ることが基本となるためです。つまり、目には直接見えにくい価値に対して、評価が下される業界でもあるといえます。
このような業界においては、単なるマーケティングや人事評価といったノウハウだけのアプローチは無益な競争や倫理観の崩壊を生み出し、諸刃の剣となる場合もあります。
人としての幸せに繋がること。
そして人の悩みや様々なトラブルなども自らの力に変え、柔軟に成長へと結びつけること。そのような人間中心の経営的アプローチが非常に大切な業界であることは皆様お感じになられていることと思います。奥の深い人間心理の追及に完全ということはありませんが、先人が培ってきた知見と自らの現場経験を融合し、この業界をよりよいものにするための小さな1歩として、積極的に活用し、ご支援に取り組んでおります。
NLP
(Neuro Linguistic Programming:神経言語プログラミング)NLPはよくコミュニケーション上達のための手段として知られるようになってきましたが、その考え方は正しくもあり、また不十分な面があります。NLPとは、他人とのコミュニケーション、そして自分とのコミュニケーションにとっても重要な人の心を取り扱う心理学と、言葉を取り扱う言語学を融合した考え方を取り入れているためです。
NLPでは、他者・自己とのコミュニケーションを通して、「人との関わり方に対する影響力の与え方」を学ぶことができます。
また一方で、単なるコミュニケーションに止まらず、自分のこれまでの人生を活かし、積極的にこれからの人生を豊かにし、周囲の大事な人々の人生に影響を与え、豊かにするための選択肢や決断・行動など、「変化を起こすための原理原則」を提供するものでもあります。
私たち人間は、常に学ぶことなしに生きていくことができない生き物です。
大切なことは、これまでの人生で得た経験や、今ここで感じていること、そしてこれからの将来をどのように形作っていきたいかという「学びの質」をいかに高めることができるか?ということでしょう。
これまでご自身が培ってこられた人生のリソースを土台とし、そこに将来に向かって望む方向性を築き、実際に変化を起こすための行動を取る。
日常の中で、「今を変えたい」「周りの大切な人を支援したい」「よりよい人間関係を構築したい」と考える経営者・リーダー、支援職の方にとって、NLPは現状を変えるための原動力を与えてくれます。
株式会社ジョイカレントでは、NLP発祥である米国NLP協会より認定を受け、NLPの知見を経営コンサルティング業務に活用し、その場にいるクライアント組織のヒューマンスキルをひとりひとり高めるための現場実践を重視したアプローチを取っています。
また、米国NLP協会理事長クリスティーナ・ホール博士に師事し、トレーナー・アソシエートの認定を受けています。今後、必要な課程を修了することで、世界共通のトレーナー資格を有し、NLPに関する認定コースをご提供することも可能となります。
現状を自らの望む形に変えたいという方に対し、ご自身のリソースを活かしたコンサルティングを実施していきます。
LAB(Language&Behavior)プロファイル
LABプロファイルとは、「Language And Behavior Profile」の頭文字を取ったものであり、人間の「言葉(Language)と行動(Behavior)の関係性」を分析した心理体系です。このLABプロファイルの世界的第一人者であるシェリー・ローズ・シャーベー氏はそのベストセラーで人が言語を通じてどのようにモチベーションを高めるかという根源的な考え方と行動傾向を説明する方法を記載しています。
LABプロファイルでは、各々の言語傾向を多角的に分析し、コミュニケーションや説得の際にどのように効果的に言葉を活用するべきかということを教えてくれます。行動やモチベーションに関連して、言語パターンに反映させてそれらを分析したり、支援的に活用するためのアプローチを取る為の体系的な指針を与えるものです。
株式会社ジョイカレントでは、このLABプロファイルの知見をスタッフ教育の現場ではもちろんのこと、患者対応や診療ツールなど、言語コミュニケーションに関わる様々な分野に応用しています。また、コンサルティングの中で、人のモチベーションを高めるためのスキルとしても活用しております。
※関西外国語大学外国語学部の上地明彦先生より指導を受け、カナダ Success Strategies社より Shelle Rose Charvet 女史のLABプロファイルプラクティショナーとしての認定を受けています。
DiSC理論
DiSC理論は、1920年代に心理学者ウィリアム・M・マーストン博士により提唱され、1963年、行動科学者ジョン・ガ イヤー博士により、人材マネージメントや自己分析ツールに応用されたものです。この理論を用いた人材育成ツール(DiSCシステム)は、米国大手人材教育出版企業インスケープパブリシング社が著作権を持つ商標登録商品で、21か国語、50か国以上で4500万 人以上の利用実績がある「行動特性分析」のグローバルスタンダードというべき存在となっています。
人間の行動傾向には、自分自身の置かれた立場、役割などの状況に応じて、人格を尊重したそれぞれのタイプ傾向の強弱があり、その動機や欲求が異なってきます。“DiSC”はこの人間の行動傾向を「D、i、S、C」という4つのパターンに分類したものです。
「D」は主導型(直観的で決断が早い)、「i」は感化型(楽観的で社交的)、「S」は安定型(思いやりがあり協調的)、「C」は慎重型(緻密で正確)を意味します。
自分や他者がどのパターンが強く出ていて、どのように環境に対して反応しているのかを理解し、その上で自己と他者への認識を深めることで意志疎通を円滑にすることを目的とした考え方です。自分自身の振る舞いや考え方を客観的に理解することは難しいものですが、心理統計分析の結果に基づくDiSCを用いることにより、より積極的に自らをコントロールし、対人折衝に対する選択肢の幅を広げてくれます。
また、人の行動を通じてその奥にある動機や欲求を探り、その行動を理解することで、その人への支援的な影響力を与えるためのコミュニケーションスタイルを選択することを可能にします。職場でのコミュニケーションギャップやフラストレーション、育成に関わる効果的な支援方法、顧客ニーズの理解と対応、チームプレーの円滑化など、医療現場で欠かすことができない指針を得る事ができます。
経営コンサルティングで
活用しているその他の知見
経営コンサルティングの現場の中で活用しているその他の心理的アプローチ手法をご紹介します。
[イメージ・コンサルティング]
日本ではまだ一般的なものではありませんが、欧米では既に活用される分野となっている印象形成のためのスキルです。クライアントが求める他者に見られたい印象イメージ、またはクライアントにとって必要と見なされる印象イメージを創り上げるための提案・アドバイスを行うための体系です。
一般のファッションコーディネートは時代のトレンドにあった美しさを演出することを中心としますが、イメージコンサルティングは、個々のクライアントの個性を活かし、イメージを積極的に形成することによってクライアントのビジネスや日常を有利にすることを主眼としています。
人がビジネスを行う際、それぞれ明確な「目的」が存在しています。そのビジネスを最も円滑に進めるための対人魅力を高めるコンサルティングのノウハウとも言えます。色彩心理・服飾学などの専門的な視点から、より効果的なイメージ形成を行うのが、イメージコンサルティングです。
これらのノウハウの中には多分に心理学的知見を含むものや、儀礼に関わるプロトコルなど、見た目と振る舞いの双方から成果を効果的に上げるためのスキルを提供します。
[Ericksonian Hypnosis]
催眠療法家として知られる精神科医・心理学者でもある20世紀最大の天才セラピスト、ミルトン・エリクソンミルトン・エリクソンにより体系立てられたセラピー。NLPの源流となる学問の1つであり、現在でもセラピーだけでなく、コミュケーションや組織マネジメントなど多分野において貢献しているものです。心や意識を方向付けるための繊細な言葉づかい(言語パターン)やクライアントの変化を引き出すメタファー(たとえ話)、心をリラックスさせる意識の醸成など様々なスキルを含んでいます。
また、人の行動を通じてその奥にある動機や欲求を探り、その行動を理解することで、その人への支援的な影響力を与えるためのコミュニケーションスタイルを選択することを可能にします。職場でのコミュニケーションギャップやフラストレーション、育成に関わる効果的な支援方法、顧客ニーズの理解と対応、チームプレーの円滑化など、医療現場で欠かすことができない指針を得る事ができます。